臨床神経学

<シンポジウム(4)―10―1>MG治療の現状を知り,今後を考える

重症筋無力症(MG)患者のhealth-related quality of life(QOL)の現状と治療への提言

長根 百合子1)

1)総合花巻病院神経内科〔〒025-0075 岩手県花巻市花城町4-28〕

高用量経口ステロイド療法は全身型MGの生命予後をいちじるしく改善し,1970〜80年代以降,胸腺摘除とともに治療のスタンダードとして普及した.しかし,その後もMGの完全寛解率に大きな改善はなく,患者の多くは長期のステロイド内服を余儀なくされた.現実には,不十分な症状改善や不十分なステロイド減量により,QOLが阻害されたままの患者が少なくないことが明らかになっている.これまでMG患者の多数例・多施設での系統的臨床解析は少ない.われわれは2010年,2012年に多施設共同調査をおこない,国内11施設のMG連続640例,2年間追跡282例について詳細,多岐にわたるデータをえた.MG患者の現状,QOL改善・悪化に関連する因子,推奨される治療目標について紹介する.
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(臨床神経, 53:1299−1302, 2013)
key words:重症筋無力症,コホート研究,横断的研究,追跡調査,health-related quality of life

(受付日:2013年6月1日)