臨床神経学

<シンポジウム(4)―6―1>脳卒中のリハビリ:回復期6か月の壁をこわす新しい治療戦略

痙縮に対するボツリヌス療法

宮城 愛1)

1)徳島大学病院神経内科〔〒770-8503 徳島県徳島市蔵本町2-50-1〕

多くの脳卒中患者の機能回復は発症後6ヵ月がピークとなり,その後の回復は見込めないとされていたが,ボツリヌス治療により長期の回復が得られる可能性が出てきた.ボツリヌス毒素はこれまで重要視されていた神経筋接合部への影響だけでなく,脊髄への直接的な影響も考えられるようになっている.このため,ボツリヌス毒素は異常な筋伸張反射の亢進を正常化させ,機能を回復させる可能性が考えられる.実際の治療では,まず治療目標を設定し,適切に目的となる筋肉へボツリヌス毒素を投与し,その直後に注射された筋肉へ運動療法をおこなうことが重要と考える.また治療間隔を最短期間の3ヵ月に設定することが,重要である.
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(臨床神経, 53:1258−1260, 2013)
key words:痙縮,ボツリヌス治療,脳卒中

(受付日:2013年6月1日)