臨床神経学

<シンポジウム(4)―5―1>プリオン病の最新情報

プリオン病の基礎,サーベイランス,感染予防

三條 伸夫1)

1)東京医科歯科大学大学院脳神経病態学(神経内科)〔〒113-8519 東京都文京区湯島1丁目5-45〕

正常プリオン蛋白(PrPC)が何らかの原因で感染性(伝播性)のある不溶性の異常プリオン蛋白(PrPSc)にコンフォメーション変化し,PrPScが重合して脳内に蓄積し,神経細胞の障害をひきおこし,脳の海綿状変化が急速に進行する致死性疾患である.現在,構造解析に基づいた低分子化合物による創薬開発が進められ,治験のためのシステム整備が進められている.本邦においては,10年以上にわたるプリオン病サーベイランス調査がおこなわれ,プリオン病の実態や獲得性プリオン病の性質,2次感染予防のための滅菌方法がほぼ確立されつつある.それらの情報やシステムを,有効な2次感染予防対策や臨床治験へと発展させ,応用してゆくことが重要である.
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(臨床神経, 53:1243−1245, 2013)
key words:プリオン病,サーベイランス,2次感染予防,クロイツフェルト・ヤコブ病,JACOP

(受付日:2013年6月1日)