臨床神経学

<シンポジウム(4)―3―4>神経心理学の進歩:たいせつなことをわかりやすく

神経心理学と意識無意識

武田 克彦1)

1)国際医療福祉大学三田病院神経内科〔〒108-8329 東京都港区三田1丁目4-3〕

脳の損傷後,ある能力が保たれているのに,それを自分では気づいていない症状を示す患者を呈示した.盲視とは,有線領の障害を有する患者に主に強制的に選択させるなどの手法をもちいると,残存する視覚機能がみいだせることをさす.患者DBは見えていないはずの視野に呈示された刺激の位置などを答えられた.課題に成功したのに,DBは何度も「何も見なかった.ただ推定しただけだ.」と答えた.DFは統覚型視覚失認に分類される患者である.形が識別できないのに,行為の場面では,視覚情報を意識には上らない形で利用できていた.ヒトを観察することから得られる,ヒトの行動や心理についての考察が,意識の解明に貢献できるのである.
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(臨床神経, 53:1240−1242, 2013)
key words:意識,アウェアネス,盲視,視覚失認,視覚と行為

(受付日:2013年6月1日)