臨床神経学

<シンポジウム(4)―2―2>片頭痛を基礎疾患とする薬物乱用頭痛の病態解明と治療

本邦における片頭痛慢性化の実態

古和 久典1)

1)鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野〔〒683-8504 鳥取県米子市西町36-1〕

頭痛の臨床において,現在もっとも解決すべき問題のひとつが‘慢性化'である.欧米の報告では,慢性片頭痛の有病率が2%,年間発症率が2.5%で,片頭痛慢性化の危険因子として,年齢,性などの介入不可能な因子と,薬物乱用やいびき,ストレスといった介入可能な因子など複数の項目や,共存症の関与が指摘されている.片頭痛慢性化の実態に関する国外からの報告が散見されるのに比して,本邦からの報告はきわめて少ない.自験例によれば,頭痛専門外来における慢性片頭痛の頻度は,2〜3割であった.慢性化と関係する危険因子として,発作頻度,薬物乱用,親・同胞の頭痛歴のほか,鼻炎やアトピーなどの共存症の存在が示唆された.
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(臨床神経, 53:1223−1224, 2013)
key words:危険因子,共存症,薬物乱用頭痛

(受付日:2013年6月1日)