臨床神経学

<シンポジウム(3)―8―3>中枢神経系感染症の遺伝子診断の進歩

真菌性脳髄膜炎の遺伝子診断

大野 秀明1), 宮ア 義継1)

1)国立感染症研究所真菌部〔〒162-8640 東京都新宿区戸山1丁目23-1〕

真菌性脳髄膜炎は比較的頻度は少ないものの致命的な疾患であり,わが国では原因真菌としてCryptococcus属,Candida属,Aspergillus属などが重要である.一般的に深在性真菌症の診断は困難なことが多いが,遺伝子診断法は迅速診断法として有用とされる一方,評価や標準法はいまだ定まっておらず,実際の運用においては研究室レベルである.真菌感染症診断における遺伝子診断法では,真菌一般を検出する方法と,特定の真菌を検出する方法があるが,菌種によっては日常生活環境に常在するものがあるため,臨床における応用においては常にコンタミネーションの可能性を考慮する必要がある.
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(臨床神経, 53:1191−1193, 2013)
key words:深在性真菌症,脳髄膜炎,クリプトコックス属,遺伝子診断

(受付日:2013年5月31日)