臨床神経学

<シンポジウム(2)―8―1>末梢神経の再生医学:難治性末梢神経疾患治療の新たな展望

シュワン細胞株をもちいた末梢神経再生機構の解析

三五 一憲1), 渡部 和彦2)

1)東京都医学総合研究所末梢神経病態研究室〔〒156-8506 東京都世田谷区上北沢2-1-6〕
2)東京都医学総合研究所神経変性病理プロジェクト

末梢神経再生過程においてシュワン細胞が主要な役割を担っていることに疑念の余地はないが,その作用機構には不明な点が多い.われわれは成熟ICRマウスおよびFischerラット末梢神経の初代培養系から,不死化シュワン細胞株IMS32およびIFRS1を樹立した.これらの細胞株はグリア細胞マーカーや神経栄養因子を発現するとともに,その培養上清が成熟ラット後根神経節ニューロンやPC12細胞の神経突起伸長を促進する.さらにIFRS1は,これらニューロンとの共培養において髄鞘形成能を有する.以上より,IMS32やIFRS1は成熟シュワン細胞としての特性を保持しており,末梢神経再生機構の解析に有用と考えられる.
Full Text of this Article in Japanese PDF (611K)

(臨床神経, 53:1117−1119, 2013)
key words:不死化シュワン細胞,成熟齧歯類,軸索再生,共培養,髄鞘形成

(受付日:2013年5月30日)