臨床神経学

<シンポジウム(2)―4―2>運動ニューロン疾患の遺伝学:Update

TDP-43時代のALS病態研究の最前線

小野寺 理1)

1)新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター分子神経疾患資源解析学〔〒951-8585 新潟県新潟市中央区旭町通1番町757〕

TDP-43病態において,その蛋白特性と量の制御機構が重要である,蛋白特性としては易凝集性,プリオン様ドメインの存在が特徴である.また疾患関連変異型TDP-43でも安定性の増加や易凝集性の亢進が報告されたが,必ずしも一定しない.一方,量については,TDP-43の量の異常が細胞障害性を示し,その量は自己調節機構により厳密に管理されていることが明らかとなった.TDP-43の機能は,ストレス顆粒との関連,RNAへの直接作用,GEM小体との関連とそれによるU12型のスプライシング異常が唱えられている.これらの機能異常のいずれが真にALSの病態に関与しているか解明が待たれる.
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(臨床神経, 53:1077−1079, 2013)
key words:筋萎縮性側索硬化症,TDP-43,プリオン,量調節機構,GEM

(受付日:2013年5月30日)