臨床神経学

短報

ステロイドパルス療法が奏功した成人ムンプス関連性脳炎/脳症の1例

山本 大介1)*, 内山 剛1), 杉山 崇史1), 佐藤慶史郎1), 清水 貴子1), 大橋 寿彦1)

Corresponding author: 聖隷浜松病院神経内科〔〒430-8558 静岡県浜松市中区住吉2-12-12〕
1)聖隷浜松病院神経内科

症例は32歳女性である.流行性耳下腺炎罹患の4日後,痙攣を契機に失外套症候群を呈し救急搬送となった.血清ムンプスウイルス抗体の上昇をみとめ,髄液細胞数は正常だが髄液蛋白上昇をみとめ,ムンプス関連性脳炎/脳症と診断した.ステロイドパルス療法開始後に意識障害は改善傾向を示し,無言無動に続き前頭葉症状をきたした.SPECTで両側前頭葉の血流低下をみとめ,病変の主座が視床から脳幹部をふくむ脳深部に存在する可能性が示唆された.ステロイドが有効であったことからも,免疫介在性の要因が推測された.
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(臨床神経, 53:839−842, 2013)
key words:ムンプス関連性脳炎/脳症,ステロイドパルス療法,前頭葉症状

(受付日:2013年2月21日)