臨床神経学

症例報告

抗SGPG IgG抗体陽性,抗MAG/SGPG IgM抗体陰性のIgM M蛋白血症にともなう多発ニューロパチーの1例

中村 治子1)2)*, 遠藤 雅直1), 菅原 恵梨子1), 桑原 基3), 楠 進3), 田中 章景2), 橋 竜哉1)

Corresponding author: 横浜市立大学附属病院神経内科〔〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9〕
1)独立行政法人国立病院機構横浜医療センター神経内科
2)横浜市立大学医学部神経内科・脳卒中科
3)近畿大学医学部内科学教室神経内科部門

症例は84歳男性である.左顔面,四肢遠位優位の感覚障害を呈した.神経伝導検査上遠位潜時の延長がめだたないが,CMAP,SNAPの振幅が低下していた.血液検査でIgM 型M蛋白血症,抗SGPG IgG抗体をみとめ,抗SGPG抗体関連ニューロパチーと診断した.抗MAG IgG,IgM抗体,抗SGPG IgM抗体陰性である点が,既報告の抗MAG/SGPG IgM抗体陽性の多発ニューロパチーと異なった.IgM 型M蛋白血症における抗MAG活性を持たない抗SGPG IgG抗体陽性の多発ニューロパチーの報告はなく貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 53:799−802, 2013)
key words:IgM M蛋白血症,多発ニューロパチー,抗SGPG抗体

(受付日:2013年1月18日)