臨床神経学

症例報告

インターフェロンβ-1b長期治療中にネフローゼ症候群を合併した多発性硬化症の2例

池田 謙輔1), 岡本 智子1)3)*, 山村 隆2)3), 大澤 勲4), 古寺 理恵5), 村田 美穂1)

Corresponding author:(独)国立精神・神経医療研究センター病院神経内科〔〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1〕
1)(独)国立精神・神経医療研究センター病院神経内科
2)(独)国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部
3)(独)国立精神・神経医療研究センター多発性硬化症センター
4)順天堂大学腎臓内科
5)日本赤十字社医療センター腎臓内科

症例1は59歳の男性で40歳時に多発性硬化症を発症,51歳時からインターフェロンβ-1b治療を開始され,8年後にネフローゼ症候群を発症した.症例2は33歳の女性で15歳時に多発性硬化症を発症,26歳時からインターフェロンβ-1b治療を開始され,7年後にネフローゼ症候群を発症した.両者とも二次性膜性腎症の病理像であり,インターフェロンβ-1bによる薬剤性ネフローゼ症候群がうたがわれた.インターフェロンβ-1b長期治療中にネフローゼ症候群を合併した2症例を報告する.
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(臨床神経, 53:19−23, 2013)
key words:多発性硬化症,インターフェロンβ,ネフローゼ症候群,膜性腎症

(受付日:2012年1月4日)