臨床神経学

症例報告

6年間経過観察しえた脳アミロイド血管症の1例
―可逆性の大脳白質病変の随伴について―

細井 泰志1)*, 内山 剛1), 吉田 眞理2), 武地 大維3), 清水 貴子1), 大橋 寿彦1), 大月 寛郎4)

Corresponding author: 聖隷浜松病院神経内科〔〒430―8558 静岡県浜松市中区住吉2―12―12〕
1)聖隷浜松病院神経内科
2)愛知医科大学加齢医科学研究所
3)聖隷浜松病院総合診療内科
4)同 病理診断科

症例は右ききの59歳女性である.53歳時,約1年前からの頭痛に対し撮影した頭部MRIにて,両側頭頂後頭葉白質にT2強調画像で高信号を呈する病変がみられた.合併する関節リウマチを考慮し,一時的にプレドニゾロンを内服したが,白質病変は増大し皮質下白質におよび,T2*強調画像で左後頭葉皮質および皮質下白質の微小出血をみとめた.原因検索のために右後頭葉から脳生検をおこない脳アミロイド血管症と診断した.自然経過で経過観察したところ,脳生検から約5カ月後の頭部MRIでは白質病変は縮小したが,微小出血は増加した.可逆性の大脳白質病変を呈する病態として脳アミロイド血管症を考慮する必要がある.
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(臨床神経, 52:90−95, 2012)
key words:脳アミロイド血管症,可逆性MRI白質病変,脳生検,脳肉芽腫性血管炎

(受付日:2011年6月20日)