臨床神経学

短報

下肢の神経痛性筋萎縮症を呈し,MRIにて馬尾造影をみとめた腰部神経根症の1例

宇野田 喜一1), 伊藤 巧1), 中嶋 秀人1)2)*

Corresponding author: 清恵会病院内科〔〒590―0024 堺市堺区向陵中町4丁2―10〕
1)清恵会病院内科
2)大阪医科大学内科学I 神経内科

症例は40歳男性である.左腰背部から臀部にかけて激痛が突発し,その後に左下肢の筋力低下が進行した.大腿四頭筋,前脛骨筋の筋力低下と筋萎縮をみとめ,左膝蓋腱反射は消失していた.針筋電図検査で左大腿四頭筋に脱神経電位をみとめ神経痛性筋萎縮症の所見と一致した.造影MRIにて第3-4腰椎レベルの左側脊髄神経から神経根部にかけてガドリニウム増強効果をみとめ,腰部神経根症と診断した.ステロイドパルス療法により疼痛は消失し,ひき続き施行した免疫グロブリン大量静注療法により筋力の改善をみとめた.本症のような症例では筋萎縮を防ぐために早期診断と治療が重要であり,造影MRIは病変部の把握と診断に有用であると考えられた.
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(臨床神経, 52:111−113, 2012)
key words:腰部神経根症,神経痛性筋萎縮症,MRI,馬尾病変,下肢

(受付日:2011年8月31日)