臨床神経学

総説

再注目される感染性髄膜炎の古典的髄液診断マーカー

佐久嶋 研, 矢部 一郎, 佐々木 秀直

Corresponding author: 北海道大学大学院医学研究科神経病態学講座神経内科学分野〔〒060―8638 札幌市北区北15条西7丁目〕
北海道大学大学院医学研究科神経病態学講座神経内科学分野

細菌性髄膜炎,結核性髄膜炎は抗菌薬治療が発達した現代においても予後不良の神経救急疾患である.近年,細菌性髄膜炎における髄液乳酸値,結核性髄膜炎における髄液ADAの有用性を示したメタ・アナリシスが立て続けに報告された.これらの報告では,髄液乳酸値は単独の検査項目として細菌性髄膜炎に対して高い感度・特異度を示すこと,抗生剤事前投与があったばあいには感度が低下することが示された.髄液ADAではやや感度は低いものの,高い特異度を示し結核性髄膜炎の診断に有用であることが示された.これらの古典的髄液診断マーカーは多くの病院で実施可能な検査であり,上手に活用することで感染性髄膜炎の診断精度の向上が期待できる.
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(臨床神経, 52:6−11, 2012)
key words:細菌性髄膜炎,結核性髄膜炎,髄液検査,乳酸,adenosine deaminase

(受付日:2011年6月1日)