臨床神経学

症例報告

初老期に片側舞踏運動で発症したもやもや病の1例

金星 匡人1)*, 井上 学1), 小島 康祐1), 中川 朋一1), 神田 益太郎1), 柴ア 浩2)

Corresponding author: 医仁会武田総合病院神経内科〔〒601―1495 京都市伏見区石田森南町28―1〕
1)医仁会武田総合病院神経内科
2)京都大学

症例は61歳女性である.右上下肢の舞踏運動が突然出現したため当院に入院した.頭部MRIで急性期病変はなかったが,脳血管造影で両側中大脳動脈起始部に高度狭窄をみとめ,同部位にもやもや血管をみとめた.ハロペリドール(0.75mg/日)内服で症状は軽快した.発症1カ月後の脳血流SPECTで左基底核に血流増加をみとめた.舞踏運動で発症するもやもや病は高齢者ではまれである.本症例では脳血流SPECTで患側基底核に血流増加をみとめ,ドパミンD2受容体遮断薬が著効したことから,もやもや血管による線条体の機能異常により舞踏運動を発症したものと考えられた.
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(臨床神経, 52:25−29, 2012)
key words:もやもや病,舞踏運動,高齢発症,局所脳血流,ハロペリドール

(受付日:2011年5月31日)