臨床神経学

症例報告

MRIでガドリニウム造影効果をともなう脊髄神経根の腫大をみとめた神経サルコイドーシスの1例

石橋 正人, 木村 成志, 高橋 良彰, 木村 有希, 迫 祐介, 熊本 俊秀

Corresponding author: 大分大学医学部総合内科学第3講座〔〒879―5593 大分県由布市挟間町医大ヶ丘1丁目1番地〕
大分大学医学部総合内科学第3講座

症例は80歳,女性で,胸部の絞扼感,四肢の痺れ感と脱力が徐々に進行した.髄液検査では細胞数と蛋白が増加していた.脊髄MRIでは,頸髄と腰髄レベルにガドリニウム(Gd)造影効果をともなう両側脊髄神経根の腫大をみとめた.胸部CTでは肺門リンパ節腫大はなく,血清のACEとリゾチームは正常だが,ツベルクリン反応の陰転化,気管支肺胞洗浄液でリンパ球とCD4/8比の上昇,さらに前斜角筋リンパ節生検で非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫をみとめた.経口プレドニゾロン投与により,症状と画像所見は改善した.Gd造影効果をともなう神経根の腫大をみとめたばあい,神経サルコイドーシスも考慮する必要がある.
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(臨床神経, 51:483−486, 2011)
key words:神経サルコイドーシス,多発神経根症,脊髄MRI,神経根腫大,ガドリニウム造影効果

(受付日:2010年12月14日)