臨床神経学

症例報告

Rituximabによる治療が有効であった抗MAG抗体関連ニューロパチーの61歳女性例

下山 隆, 谷口 洋, 仙石 錬平, 松野 博優, 三村 秀毅, 河野 優, 持尾 聰一郎

Corresponding author: 東京慈恵会医科大学神経内科学講座〔〒105―8461 東京都港区西新橋3―25―8〕
東京慈恵会医科大学神経内科学講座

症例は61歳女性である.1年の経過で四肢遠位優位の感覚障害が進行した.血液検査でIgM-M蛋白血症と,抗myelin associated glycoprotein(MAG)抗体をみとめた.神経伝導検査では遠位潜時延長を中心とする伝導遅延があり,腓腹神経の免疫染色で髄鞘にIgMの沈着をみとめ抗MAG抗体関連ニューロパチーと診断した.大量免疫グロブリン療法は無効で症状は進行したため,rituximabを投与し感覚障害は改善した.本邦における同疾患へのrituximab治療の詳細な報告はないが,自己免疫性ニューロパチーにもちいられてきた免疫グロブリンなどの従来療法より有効である可能性が示唆された.
Full Text of this Article in Japanese PDF (562K)

(臨床神経, 51:345−349, 2011)
key words:末梢性ニューロパチー,M蛋白血症,抗MAG抗体,リツキシマブ

(受付日:2010年12月29日)