臨床神経学

短報

右淡蒼球外節に限局した脳梗塞発症後にヘミパーキンソニズムを呈した1例

廣田 尚美1), 坂尻 顕一1)*, 新田 永俊1), 小室 龍太郎2)

Corresponding author: 国立病院機構金沢医療センター神経内科〔〒920―8650 石川県金沢市下石引町1番1号〕
1)国立病院機構金沢医療センター神経内科
2)同 精神神経科

症例は76歳の女性である.3カ月前に不眠に対し抗うつ薬と睡眠薬を投与された.その際の頭部MRIで基底核病変はなかった.1カ月前から左手の振戦,動作緩慢,ふらつきが出現し,当科を初診した.頸部,左上下肢の筋固縮,左手の巧緻運動障害と動作時振戦,歩行時の左手の振りの減少をみとめた.MIBG心筋シンチグラフィの心 縦隔比は正常で,頭部MRIで右淡蒼球外節に脳梗塞をみとめた.薬剤性パーキンソニズムをうたがい被疑薬を中止したが,症状は不変であった.抗パーキンソン病薬への反応性も乏しく,症状の出現時期と脳梗塞発症時期が一致するため,同梗塞による左ヘミパーキンソニズムと診断した.同様の報告はまれで,貴重な症例と考え報告した.
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(臨床神経, 51:215−218, 2011)
key words:淡蒼球外節,基底核,脳梗塞,ヘミパーキンソニズム

(受付日:2010年8月30日)