臨床神経学

短報

突然発症した片側舞踏病を主症状とした本態性血小板血症の1例

伊藤 博之1), 木下 郁夫1)*, 城 達郎1), 大坪 まゆみ2), 迫 龍二3)

Corresponding author: 日本赤十字社長崎原爆病院〔〒852―8511 長崎市茂里町3―15〕
1)日本赤十字社長崎原爆病院内科
2)同 放射線科
3)はざま神経内科・内科医院

症例は68歳女性である.突然発症した右上下肢の舞踏病と血小板増加で入院した.検査で白血球(14,000/μl),血小板(188.3×104/μl)の増加をみとめた.骨髄の細胞数,とくに巨核球の増加(550/μl)をみとめたが,異形成はみとめず,染色体は正常核型で本態性血小板血症と診断した.頭部MRIで左淡蒼球から被殻にT1強調画像で高信号がみとめられた.画像所見は糖尿病性片側舞踏病に類似していたが,糖尿病の存在は否定された.本例は真性多血症にともなう舞踏病で推測される微小循環不全にともなう出血や虚血によるものと似た病態と考えられた.
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(臨床神経, 51:211−214, 2011)
key words:片側舞踏病,本態性血小板血症,糖尿病性片側性舞踏病,真性多血症

(受付日:2010年8月2日)