臨床神経学

症例報告

脳MRIで大脳基底核,視床枕,後頭・側頭葉皮質病変を呈し,抗グルタミン酸受容体抗体が陽性であった若年女性脳炎の1例

齊藤 利雄1)*, 斎藤 朋子1), 高橋 幸利2), 穀内 洋介3), 藤村 晴俊1)

Corresponding author: 国立病院機構刀根山病院神経内科〔〒560―8552 大阪府豊中市刀根山5―1―1〕
1)国立病院機構刀根山病院神経内科
2)国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター小児科
3)大阪大学医学部附属病院神経内科

妊娠・出産後に複視・ふらつきで初発し,精神症状,運動障害などの症状を呈し,進行性の経過を辿った脳炎の25歳女性症例を経験した.本例は副腎皮質ステロイドが症状改善に有効であったが,急性増悪をきたし第197病日に死亡した.抗グルタミン酸受容体ε2抗体が陽性であった点,妊娠・出産後に発症している点,発症初期に大脳基底核主体の病変がみられ,進行期に視床,後頭・側頭葉皮質病変を呈した点などが特徴的であった.
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(臨床神経, 51:192−196, 2011)
key words:抗グルタミン酸受容体抗体,脳炎,Pulvinar sign

(受付日:2010年7月26日)