臨床神経学

<シンポジウム12―2>筋炎研究最近の進歩

抗SRP抗体陽性ミオパチー

鈴木 重明

慶應義塾大学医学部神経内科〔〒160―8582 東京都新宿区信濃町35番地〕

筋炎の患者血清中には複数の自己抗体が存在する.多様な筋炎に関連する自己抗体はRNA免疫沈降法で検出でき,この中で抗signal recognition particle(SRP)抗体はこれまで重症,治療抵抗性の筋炎との関連が指摘されてきた.しかし,抗SRP抗体陽性ミオパチーの筋病理は著明な壊死・再生像がみとめられリンパ球の細胞浸潤が乏しい壊死性ミオパチーが特徴的であり,筋炎とはことなる疾患概念として捉えるべきである.抗SRP抗体陽性ミオパチーの中には比較的若年で発症し,慢性に経過する症例が存在し,筋ジストロフィーに類似した経過をとる症例がふくまれている.
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(臨床神経, 51:961−963, 2011)
key words:自己抗体,RNA免疫沈降法,signal recognition particle(SRP)

(受付日:2011年5月19日)