臨床神経学

<シンポジウム07―2>Atypical types of dementia 非典型認知症

非典型認知症への臨床的アプローチ

鈴木 匡子

山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学講座〔〒990―9585 山形市飯田西2―2―2〕

非典型認知症では健忘以外の高次脳機能障害が前景に立つが,それらに対し臨床的にどうアプローチしていくかは未だ手探りの状態である.変性性認知症でみられる“行為”の障害も,対象の受容の段階から最終的な出力の手前まで多くの段階での機能異常が原因となりうる. 詳細な検討から後部皮質萎縮症では視覚性注意障害が,進行性核上性麻痺では対象のある意図的な運動の制御の障害が“行為”に影響していると考えられ,それぞれ視覚背側路,補足運動野の関与が示唆された.神経心理学的検索と神経放射線学的検討を統合することにより症状の背後にある機能異常とその神経基盤を明らかにし,各認知症の病態やその進展の特徴を知ることが重要である.
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(臨床神経, 51:930−933, 2011)
key words:注意,行為,後部皮質萎縮症,進行性核上性麻痺,補足運動野

(受付日:2011年5月19日)