臨床神経学

教育講演16

難治性片頭痛の対策と治療

清水 利彦

慶應義塾大学医学部神経内科〔〒160―8582 東京都新宿区信濃町35〕

片頭痛の一部の症例では時間経過とともに“episodic”な要素が消失し,連日性に拍動性であるがその他は緊張型頭痛に似た頭痛が出現するばあいがある.このような頭痛は慢性片頭痛といわれ治療に抵抗性で難治性片頭痛となることが多い.しかし難治性片頭痛に関する診断基準は作成されておらず,一般的には通常おこなわれる片頭痛の急性期および予防療法をおこなうが効果を示さない片頭痛と考えられている.診断には器質的障害による二次性頭痛や片頭痛急性期治療薬であるトリプタンや鎮痛剤の過剰使用によりおこる薬物乱用頭痛を除外する必要がある.難治性片頭痛に関する治療について“episodic”な片頭痛の予防療法として使用される薬剤であるカルシウム拮抗薬(ロメリジン),ベータ遮断薬(プロプラノロール),抗うつ薬(アミトリプチリン),抗てんかん薬(バルプロ酸,ガバペンチン,トピラマート)などをもちいるがこれらの薬剤を複数組み合わせ少なくとも半年は経過をみることが必要である.
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(臨床神経, 51:877−880, 2011)
key words:難治性片頭痛,片頭痛,慢性片頭痛,薬物乱用頭痛

(受付日:2011年5月20日)