臨床神経学

症例報告

20歳代で歩行不能となった肢帯型筋ジストロフィー2M型の1症例

近土 善行1), 森 まどか1)*, 林 由起子2), 大矢 寧1), 佐藤 典子3), 西野 一三2), 村田 美穂1)

Corresponding author: 国立精神・神経医療研究センター病院神経内科〔〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1〕
1)国立精神・神経医療研究センター病院神経内科
2)国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究一部
3)国立精神・神経医療研究センター病院放射線科

症例は29歳男性である.類症の兄が13歳で突然死.幼児期から筋力低下,歩行障害,下腿筋肥大を呈し,Becker型筋ジストロフィーと診断され無治療で経過した.26歳で車椅子使用.27歳時検診で心筋障害を指摘された.29歳時,生検筋免疫染色でのα-dystroglycan欠損と FKTN 遺伝子3-kb挿入/p.Q358P複合へテロ接合型変異から,肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)2M型と診断した.頭部MRIでは片側小脳低形成がみられた.3-kb挿入変異を持つLGMD2Mは骨格筋症状が軽症とされていたが,本例は20歳代で歩行不能となり,既報告症例より重症であった
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(臨床神経, 50:661−665, 2010)
key words:肢帯型筋ジストロフィー2M型,fukutin,α-dystroglycan,拡張型心筋症

(受付日:2010年4月28日)