臨床神経学

症例報告

開眼失行を呈した筋萎縮性側索硬化症/前頭側頭葉変性症の1例

矢島 隆二1), 春日 健作1)*, 佐藤 朋江1), 池内 健2), 西澤 正豊1)

Corresponding author: 新潟大学病院脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野〔〒951-8585 新潟市中央区旭町通1番町757〕
1)新潟大学脳研究所神経内科
2)同 分子神経疾患リソース解析学

症例は76歳の男性である.両眼の開眼失行で発症し,脳幹,頸髄,腰仙髄の各レベルで上位・下位運動ニューロン障害を呈し,針筋電図検査では神経原性変化をみとめた.さらに前頭葉機能低下が前景に立つ認知機能低下と,特徴的な失語症をともなっていた.頭部MRIで両側前頭側頭葉の萎縮をみとめ,99mTc ECD SPECTでも同部の血流が低下していた.筋萎縮性側索硬化症/前頭側頭葉変性症に開眼失行をともなう比較的均一な病像を呈する一群がまれながら存在すると考えられた.
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(臨床神経, 50:645−650, 2010)
key words:筋萎縮性側索硬化症,前頭側頭葉変性症,開眼失行,進行性非流暢性失語,選択的セロトニン再取り込み阻害薬

(受付日:2010年3月3日)