臨床神経学

総説

プリオン病―本邦の特徴と診断のポイント―

三條 伸夫, 水澤 英洋

Corresponding author:東京医科歯科大学大学院脳神経病態学〔〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45〕東京医科歯科大学大学院脳神経病態学

プリオン病は正常プリオン蛋白が伝播性を有する異常プリオン蛋白に変化し蓄積することにより発症する.孤発性,遺伝性,獲得性の3種類があり,本邦では1999年からの約10年間のサーベイランス調査で1,320名の患者が確認され,硬膜移植CJD例が多いことや遺伝性CJDで本邦に特異的な変異例が多いなどの特徴がある.孤発性古典型では急速進行性の認知症,四肢のミオクローヌス,MRI拡散強調画像で大脳皮質と基底核の高信号,脳波でPSDなどの特徴的な所見をみとめるが,非典型例も少なくない.臨床症状,髄液検査,遺伝子検索により的確な診断をくだすことが,病態の解明,二次感染予防,心理サポートにおいて重要である.
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(臨床神経, 50:287−300, 2010)
key words:プリオン病, クロイツフェルト・ヤコブ病, 伝達性海綿状脳症, ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病, 致死性家族性不眠症

(受付日:2010年3月3日)