臨床神経学

短報

抗核抗体高値が持続し短期間に無菌性髄膜炎を反復した亜急性壊死性リンパ節炎の1例

山下 泰治1), 柴田 憲一1), 長野 祐久1), 相島 慎一2), 由村 健夫1)*

Corresponding author: 福岡市民病院神経内科〔〒812―0046 福岡市博多区吉塚本町13番1号〕
1)福岡市民病院神経内科
2)九州大学大学院医学研究院形態機能病理学

症例は35歳女性である.母に関節リウマチ,妹にシェーグレン症候群がある.1年半の間にリンパ節腫張にひき続く無菌性髄膜炎を3回くりかえした.3回目で頸部リンパ節生検をおこない亜急性壊死性リンパ節炎の所見をえた.非ステロイド系消炎鎮痛薬に対する反応は不良であったが,ステロイド投与後に発熱,頭痛,リンパ節腫張はすみやかに改善した.初回入院時から抗核抗体,抗SS-A抗体陽性は持続しており,とくに抗核抗体は再発の度に抗体価が上昇した.亜急性壊死性リンパ節炎は一般的に数カ月以内に自然治癒する予後良好な疾患で,自己抗体の出現も一過性が多い.本例のように無菌性髄膜炎をくりかえすばあいには,自己免疫異常の持続が一因と考えられる.
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(臨床神経, 50:728−731, 2010)
key words:再発性無菌性髄膜炎,亜急性壊死性リンパ節炎,抗核抗体,SLE

(受付日:2010年5月8日)