臨床神経学

症例報告

頸動脈過敏症を合併した頸動脈痛(carotidynia)の1例

佐藤 祥一郎, 矢澤 由加子, 板橋 亮, 突田 健一, 古井 英介

Corresponding author: 広南病院脳血管内科〔〒982―8523 仙台市太白区長町南4―20―1〕
広南病院脳血管内科

症例は,右頸部の疼痛と頸部伸展・回旋時の血圧低下を呈した71歳の男性である.頸部血管超音波検査では右内頸動脈に高度狭窄をみとめ,造影CTでは頸動脈球部周囲に造影効果をともなう軟部組織陰影がみられた.18F-FDG PET-CTでは同部に一致した高集積をみとめ,頸動脈痛(carotidynia)と診断した.約2週間で疼痛は消失し,右内頸動脈の狭窄も中等度まで改善,血圧低下は消失した.頸動脈の動脈硬化に,carotidyniaによる頸動脈洞の血管壁肥厚と血管周囲の炎症が加わることで,頸動脈過敏症を発症したと考えられた.
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(臨床神経, 50:714−717, 2010)
key words:頸動脈痛,頸動脈過敏症,頸動脈狭窄,頸部血管超音波検査

(受付日:2010年7月1日)