臨床神経学

症例報告

GJA12遺伝子変異をみとめず,新規の白質ジストロフィーがうたがわれた1例

石川 知子1)*, 佐藤 紀美子1), 島崎 里恵1), 後藤 勝政1), 松田 貴雄2), 石浦 浩之3)

Corresponding author:国立病院機構西別府病院神経内科〔〒874-0840 大分県別府市大字鶴見4548番地〕
1)国立病院機構西別府病院神経内科
2)同 臨床研究部
3)東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻神経内科学

症例は50歳女性である.3歳頃に歩行障害で発症し,眼振,小脳失調,痙性麻痺などが緩徐に進行し,頭部MRIで髄鞘低形成と思われる所見をみとめた白質ジストロフィーの1例を経験した.両親はいとこ婚で姉に同様の症状があり,遺伝形式は常染色体劣性遺伝と考えられた.GJA12遺伝子変異はみとめず,また既報の常染色体劣性遺伝を呈するhypomyelinating leukodystrophy症例と比較して,下肢の著明な末梢神経障害をみとめた点,発症年齢がやや高く経過が長い点,歩行障害で発症した点が特徴的で,新規の白質ジストロフィーがうたがわれた.
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(臨床神経, 50:7−11, 2010)
key words:hypomyelinating leukodystrophy, Pelizaeus-Merzbacher-like disease, GJA12, 白質ジストロフィー

(受付日:2008年4月14日)