臨床神経学

原著

急性期脳梗塞の洞調律患者における左房径拡大と発作性心房細動の検討

藤井 修一1)2)*, 芝崎 謙作2), 井口 保之2), 坂井 健一郎2), 木村 和美2)

Corresponding author:川崎医科大学脳卒中医学教室〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577〕
1)鏡野町国民健康保険病院内科
2)川崎医科大学脳卒中医学教室

急性期脳梗塞患者における発作性心房細動(pAF)と左房(LA)径の関連について検討した.対象は発症24時間以内の脳梗塞で,入院中に経胸壁心臓超音波検査でLA径を計測しえた292症例.LA径は持続性心房細動(cAF)群77例,発作性心房細動(pAF)群32例,非AF群183例の順に大きかった(中央値4.7 vs 4.1 vs 3.5 cm,p<0.001).pAF群と非AF群を識別する至適LA径は3.8 cm(感度68.8%,特異度73.8%)であった.多変量解析ではNIHSSスコア≧8とLA径≧3.8 cm,僧帽弁疾患が発作性心房細動の独立した関連因子であった.急性期脳梗塞の洞調律患者においてLA径の拡大した症例は,pAFの存在を考慮する必要がある.
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(臨床神経, 49:629−633, 2009)
key words:発作性心房細動, 左房径, 急性期脳梗塞

(受付日:2009年7月24日)