臨床神経学

症例報告

Striatocapsular infarctionと陳旧性大脳皮質梗塞との間に線状の白質病変をみとめた1例

狐野 一葉1)*, 棚田 万理2), 草野 由紀2)

Corresponding author:公立山城病院神経内科〔〒619-0214 京都府木津川市木津池田74番地の1〕
1)公立山城病院神経内科
2)同 リハビリテーション科

症例は65歳女性である.3日かけて右手脱力と自発話の低下が増強した.臨床的に右不全麻痺と超皮質性運動失語,遂行機能障害があり,MRI検査で左被殻から尾状核にかける新しいstriatocapsular infarctionと左上前頭回(Brodmann area 8)の陳旧性梗塞をみとめた.失語症は皮質下失語と考えられた.失語症は改善したが遂行機能障害が残存した.半年後のMRI検査にて被殻・尾状核と上前頭回の梗塞巣を結ぶ線状の白質病変がみられた.この変化は2つの脳梗塞巣の間の神経線維に生じた変性ではないかと考えた.
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(臨床神経, 49:17−21, 2009)
key words:striatocapsular infarction, dorsolateral prefrontal curcuit, 遂行機能, ワーラー変性

(受付日:2008年1月17日)