臨床神経学

短報

発症後30年経過したPARK6の1例―脳機能画像による検討―

山下 拓史1)*, 郡山 達男1), 大下 智彦1), 高橋 哲也1), 橋川 一雄2)4), 服部 信孝3), 福山 秀直2), 松本 昌泰1)

Corresponding author:広島大学病院脳神経内科〔〒734-8551 広島市南区霞1-2-3〕
1)広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科
2)京都大学医学研究科附属高次脳機能総合研究センター
3)順天堂大学医学部脳神経内科
4)現 国立病院機構大阪南医療センター第二循環器科

症例は52歳女性である.両親はいとこ婚で23歳時に左足の振戦で発症し,28歳時に動作緩慢,安静時振戦,左優位の四肢筋固縮などから若年性パーキンソン病と診断された.42歳時からL-DOPAを開始し,47歳頃からジスキネジアが出現した.PINK1遺伝子変異をみとめPARK6と診断された.頭部MRI,18F-FDG PETは異常なく,11C-raclopride PETでは両側被殻での集積は保たれていた.プラミペキソールにより症状は改善し,L-DOPAの中止が可能であった.本症例では長期経過後も線条体におけるポストシナプスのD2受容体が維持されていると考えられた.
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(臨床神経, 48:662−665, 2008)
key words:常染色体劣性遺伝性パーキンソニズム, PARK6, raclopride, positron emission tomography(PET), 脳機能画像

(受付日:2008年3月24日)