臨床神経学

症例報告

階段状に進行した心原性脳塞栓症の2例

高嶋 修太郎, 平野 恒治, 田口 芳治, 道具 伸浩, 豊田 茂郎, 田中 耕太郎

Corresponding author:富山大学附属病院神経内科〔〒930-0194 富山市杉谷2630〕
富山大学附属病院神経内科

階段状に進行した中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症2例を報告した.急性期の頭部MRAまたはCTAでは中大脳動脈にアテローム硬化性病変がうたがわれた.TOAST分類による急性期の病型診断では,症例1は心房細動をみとめたが診断不定であった.症例2はアテローム血栓性脳梗塞に分類された.後日MRAを再検したところ,2例とも中大脳動脈は再開通しており,心疾患の存在も確認され,最終的に心原性脳塞栓症と診断された.心原性脳塞栓症では,階段状に進行することがあり,急性期MRAでアテローム血栓性脳梗塞との鑑別が困難なときは,塞栓源の検索と伴にMRAをfollow-upして再開通を確認する必要がある.
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(臨床神経, 48:656−661, 2008)
key words:心原性脳塞栓症, 頭部MRA, 再開通, 発作性心房細動, 経食道心エコー

(受付日:2008年5月29日)