臨床神経学

短報

横静脈洞血栓症にて一過性に皮質盲を呈した1例

三瀧 真悟, 福田 準, 木谷 光博

益田赤十字病院神経内科〔〒698-8501 島根県益田市乙吉町イ103-1〕

症例は62歳男性である.視力障害,全身性痙攣のため入院した.来院時CT上右横静脈洞内に高吸収域をみとめ,頭部MRI拡散強調像では両側後頭葉,頭頂葉皮質に高信号をみとめた.両側後頭葉病巣から視力障害は皮質盲と考えられた.静脈洞血栓症と診断しヘパリンナトリウム,エダラボン,浸透圧利尿薬にて加療,入院後のMRVでは左横静脈洞の描出は不良であったが,CTで高信号を呈した右横静脈洞は描出されていた.入院翌日には視力は回復,頭部CTでは右横静脈洞内の高吸収域は改善した.本症例は元来左横静脈洞が低形成であり,今回優位側である右横静脈洞に血栓および血流鬱滞がおこったが再開通したものと考えた.
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(臨床神経, 48:351−354, 2008)
key words:静脈洞血栓症, 皮質盲, 脳梗塞, 痙攣, MRV

(受付日:2007年9月29日)