臨床神経学

原著

救急現場におけるてんかん重積状態の臨床的特徴〜非痙攣性てんかん重積状態nonconvulsive status epilepticusの重要性について〜

吉村 元, 高野 真1), 川本 未知, 別府 美奈子, 尾原 信行, 小林 潤也, 葛谷 聡, 山上 宏, 幸原 伸夫

神戸市立医療センター中央市民病院 神経内科〔〒650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町4-6〕
1)現 京都大学医学部 神経内科

神経救急現場でのてんかん重積状態(SE)の特徴を,とくに非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)に着目して検討した.対象は入院時に意識障害をともなったSE患者連続94例.その内入院時NCSEであったのは24例(25.5%)で,入院後NCSEとなったものもふくめると32例(34.0%)であった.SEの予後因子について検討したところ,経過中にNCSEとなったものや,脳血管障害を契機にSEとなったものは,年齢や性別,その他の基礎疾患と独立して有意に予後が悪かった.NCSEはまれな病態ではなく予後不良因子でもあるため,原因不明の意識障害患者にはすみやかに脳波検査を施行し,NCSEに対しては積極的治療をおこなうべきである.
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(臨床神経, 48:242−248, 2008)
key words:てんかん重積状態, 非痙攣性てんかん重積状態, 痙攣性てんかん重積状態, 予後

(受付日:2007年11月7日)