臨床神経学

短報

胃切除後に生じた非アルコール性ペラグラの1例

永石 彰子1), 田邊 洋2), 上野 正克1), 松井 大1), 松井 真1)

1)金沢医科大学脳脊髄神経治療学(神経内科)〔〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1丁目1番地〕
2)同 環境皮膚科学(皮膚科)

症例は67歳の男性で,飲酒歴・偏食はない.2004年9月,早期胃癌に対し,術後の栄養管理にすぐれるとされる噴門側胃切除術・空腸嚢間置再建術を受けた.2006年3月より下痢,露出部の皮疹が出現し,また,約2カ月の経過で,歩行障害・意識障害・ミオクローヌス・幻覚が出現した.皮疹・下痢・精神神経症状の三徴よりペラグラと診断し,ニコチン酸アミドと混合ビタミン薬の投与で軽快した.消化管手術後に神経症状を呈する症例では術式を問わず栄養障害を念頭におく必要がある.
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(臨床神経, 48:202−204, 2008)
key words:ペラグラ, 胃切除, 空腸嚢, ビタミン欠乏症, 非アルコール性

(受付日:2007年4月13日)