臨床神経学

短報

扁桃体病変による感情認知障害に対するL-DOPAの効果

佐藤 達矢1)2), 高橋 伸佳1), 河村 満1)

1)昭和大学神経内科
2)現 社会保険大牟田天領病院神経内科〔〒836-8566 福島県大牟田市天領町1丁目100番地〕

単純ヘルペス脳炎により扁桃体病変を呈した一例において,感情認知障害に対するL-DOPAの効果を検討した.本例では恐怖,嫌悪の感情認知障害が,表情(静止画・動画),音声,文章のいずれのモダリティーにおいてもみとめられ,これらはL-DOPA投与により改善した.その機序として,前部帯状回,内側前頭前皮質など扁桃体以外の感情認知に関係するドーパミン神経系が賦活された可能性が考えられた.
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(臨床神経, 48:139−142, 2008)
key words:扁桃体, 感情認知, L-DOPA, 単純ヘルペス脳炎

(受付日:2007年2月24日)