臨床神経学

第49回日本神経学会総会

<シンポジウム7-4>ALSの研究・治療はどこまできたか
日本におけるMNDの治療

吉野 英

吉野内科・神経内科医院〔〒272-0827 千葉県市川市国府台3-3-16〕

ALS治療薬としてリルゾールが承認されすでに10年以上たつがこれに続く治療薬は承認されておらず,ALSはいまだ不治の病である.一方ALSの病態解明がSOD-1遺伝子変異の発見により大きな進歩を遂げ,マウスモデルが作成されことにより治療薬のスクリーニングが盛んにおこなわれるようになった.いくつかの薬剤はリルゾールと同様に,マウスモデルでも効果がみとめられている.しかしこれら薬剤の中で,現在までに臨床試験で効果が証明され,治療薬として承認にいたったものはない.マウスモデルへの効果と臨床上の有効性の間には大きな壁がある.マウスモデルでの効果を確かめることは重要であるが,安全で有効性が期待される治療候補薬剤は,早く臨床試験をおこない治療への道を開くことが重要である.
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(臨床神経, 48:976−978, 2008)
key words:motor neuron disease, amyotrophic lateral sclerosis, therapy

(受付日:2008年5月17日)