学会誌「臨床神経学」
目次へ戻る 第48巻第8号目次
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─ 短報 ─

寝たきりの認知障害者に聴神経鞘腫と続発性正常圧水頭症をみとめ,腫瘍摘出術により軽快した1症例

杉本 精一郎1)*, 杉本 晶子3), 斉田 和子1), 岸 雅彦4), 塩屋 敬一1), 比嘉 利信2)

Corresponding author:国立病院機構宮崎東病院神経内科〔〒880-0911 宮崎市大字田吉4374番地1〕
1)国立病院機構宮崎東病院神経内科
2)同 内科
3)潤和会記念病院神経内科
4)東邦大学医療センター佐倉病院神経内科

症例は67歳女性である.65歳より歩行障害,発語障害が出現した.その後認知障害が生じ尿便失禁・寝たきり状態となった.入院時無言状態で昏迷,下肢優位に錐体路徴候を呈し,CT, MRIで脳室拡大と小脳橋角部腫瘍が判明した.髄液圧は正常で,髄液蛋白は上昇していた.RI脳槽造影ではRIの脳室内逆流と72時間後の残存があり,正常圧水頭症と考えられた.腫瘍摘出後,脳室拡大と髄液蛋白は減少し認知障害と運動障害は改善した.腫瘍は聴神経鞘腫であった.聴神経鞘腫にともなう正常圧水頭症は50%から78%ほどが腫瘍摘出のみで症状が改善するため,認知障害と下肢優位の錐体路徴候を呈す寝たきり患者で鑑別を要する疾患のひとつと考えられる.
(臨床神経, 48:575−578, 2008)
key words:正常圧水頭症, 認知障害, 聴神経鞘腫, 髄液蛋白高値, RI脳槽造影

(受付日:2007年6月7日)

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